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【正論・戦後72年に思う】「経験主義」との決別が国を変える それを乗り越えるのは政治主導だが… 千葉工業大学惑星探査研究センター所長・松井孝典

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【正論・戦後72年に思う】
「経験主義」との決別が国を変える それを乗り越えるのは政治主導だが… 千葉工業大学惑星探査研究センター所長・松井孝典

千葉工業大学惑星探査研究センター所長・松井孝典氏(伴龍二撮影)  千葉工業大学惑星探査研究センター所長・松井孝典氏(伴龍二撮影) 

 それに反して面白かったのは、ビゲローという、その名を冠したビゲロー・エアロスペースの社長にして、本業は不動産会社社長の講演だった。

 米国がこのまま手をこまねいていると、中国が5年以内に月面基地建設に着手する。そうなると、その後は月面着陸に際し他国からは着陸料を取るなど、とんでもないことが起こるぞという、警告のような冗談を含む講演で、それを漫画にして見せながら、この種の会議では珍しく本音の議論を展開した。米国の有人宇宙探査は、国家のDNAに刻まれていることを彷彿(ほうふつ)させる内容だった。

≪教育が文明の発展を駆動する≫

 宇宙に関する国際会議に出席して感じるのは、それが宇宙科学にしてもISS関連にしても、停滞という言葉とは無縁であることだ。

 現在のような文明が発展したのは、ヨーロッパで啓蒙(けいもう)主義が起こり、1000年以上に及ぶギリシャ以来の知の停滞が打破されたからだ。その伝統を沸々と感じさせる。停滞の原因を探れば経験主義に行き着く。

 社会も知の世界も、経験主義に基づく過去の尊重だけでは発展しない。経験主義は停滞をもたらすだけだ。その停滞が乗り越えられたのは、経験に加えて推測、推論という思考が始まったからだ。

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