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【書をほどき 知をつむぐ】大宅壮一に対した岡本太郎の視点 『沖縄文化論-忘れられた日本』岡本太郎著 学習院大教授・赤坂憲雄

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【書をほどき 知をつむぐ】
大宅壮一に対した岡本太郎の視点 『沖縄文化論-忘れられた日本』岡本太郎著 学習院大教授・赤坂憲雄

『沖縄文化論-忘れられた日本』岡本太郎著(中公文庫・686円+税) 『沖縄文化論-忘れられた日本』岡本太郎著(中公文庫・686円+税)

 この本の初版が『忘れられた日本』というタイトルで刊行されたのは、60年安保の翌年である。増補版は『沖縄文化論』に名を変えて、沖縄の施政権がアメリカから日本に返還された1972年の秋に刊行されている。

 それはまさに、沖縄返還の渦中に、いわば、沖縄を忘却している日本人に対して、沖縄が「忘れられた日本」であるという現実を生々しく突きつけたのだ。

 岡本太郎が沖縄を訪ねたのは、1959年の11月から翌月にかけてのことである。沖縄はいまだ米軍の占領下にあった。特別に身分証明書を発行してもらい、ようやく渡航したのである。太郎にとって、この沖縄への旅は、日本文化の再発見のために行われた「探検」の終章に近い。その「探検」からは、『日本再発見』『神秘日本』『沖縄文化論』という、日本紀行三部作が産み落とされている。とりわけ、『沖縄文化論』は傑作として知られているが、それはまた、太郎その人の「根源的な自己発見」の書でもあった。太郎はみずから、それを「一つの恋のようなもの」と呼んでいる。

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