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【話題の本】美術への愛に満ちている『いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画』(原田マハ著)

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【話題の本】
美術への愛に満ちている『いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画』(原田マハ著)

原田マハ著「いちまいの絵」 原田マハ著「いちまいの絵」

 『楽園のカンヴァス』など美術小説で人気のある著者が、自身の人生に強い影響を与えた絵画や、美術史に足跡を残した名作などを俎上(そじょう)に載せ、思いをつづった一冊。

 取り上げられているのは古代ローマの壁画から現代美術までの26点。ピカソの「アヴィニヨンの娘たち」では、「ピカソという画家を知らずに過ごしたとしたら、私はアートとこんなにも深く付き合うことはなかっただろう」と記す。10歳のころ岡山県倉敷市の大原美術館で初めて出合ったピカソの絵に「下手くそパンチを思いっきり浴びた気分だった」と打ち明ける。一枚の絵と対話し、画家が発する声を感じとる。自身が感じたことを正直に語っているのが心地よい。

 人気作家だけに売り上げは出足もよく、発売1カ月で2万部と好調だ。担当編集者の金井田亜希さんは「老若男女関係なく売れている。自身の経験と体験を絵の背景とリンクさせる原田さんならではの視点がいい」と読まれる理由を説明する。

 単なる美術ガイドでも解説書でもない。絵との邂逅(かいこう)の物語があり、美術への愛に満ちている。なにより読んでいると、その絵が見たくなってくる。(集英社新書・900円+税)

 渋沢和彦

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