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【ゆうゆうLife・がんゲノム医療の試金石 最善の選択肢を求めて(上)】
遺伝カウンセリング整備が急務
診療実績の豊富な「がん研究会有明病院(山口俊晴病院長)」。同院でHBOCの遺伝カウンセリングを受ける人は1年間に新たに120人前後。PARP阻害剤が使われ始めれば、患者数は1.5倍に増えると予想されている。
遺伝子診療部の新井正美部長は「PARP阻害剤が保険適用になれば待ったなし。全国でBRCA遺伝子検査を実施できる体制が必要になる。診療の地域格差を解消し、遺伝カウンセリングができないなら、他の医療機関と連携して実施できる体制が必要だ」とする。
日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構は秋以降、基幹施設として(1)HBOCの遺伝カウンセリング(2)乳がんや卵巣がんの精密な検診-などができる医療機関を認定する方針。同時に、「連携施設」や「協力施設」も認定し、医療機関が連携して治療できる体制の構築を急ぐ。
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【用語解説】遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)
遺伝子を修復する「BRCA1」「BRCA2」と呼ばれる遺伝子に生まれつき変異があることで起きる。一般の人に比べて、乳がんに6~12倍かかりやすく、卵巣がんに8~60倍かかりやすい。乳がん患者の3~5%、卵巣がん患者の10%を占める。