《動物看護師や愛玩動物飼養管理士を育成する「九州動物学院」を平成16年に開校した。学校法人「昭徳学園」も設立し、23年から理事長を務める》
学院設立は、動物病院を開業して10年目でした。経営は順調に推移しており、事業拡大を検討しました。分院をつくることも考えましたが、運営を別の獣医師に任せざるを得ません。難しいと感じました。
竜之介動物病院は、私の名前で納得できる獣医療サービスを提供しています。それを人に任せると、違ってくる。
腕が良いとか悪いとかではなく、獣医師が違えば、やり方や考え方は、どうしても異なるのです。
そこで、人材育成に取り組もうと決めました。特に力を入れたかったのが、動物看護師の育成です。看護や介護、飼育技術を学ぶだけでなく、命との関わりを学んだ人材を、動物病院やペット産業の現場に送り出したいと考えた。
動物の地位向上を目指しても、私1人では限界がある。多くの人に、人間と動物の関係を理解してもらい、考え方を広めようと考えたのです。
《診療の合間に、九州動物学院の教壇にも立つ》
授業では、獣医の現場で起きたことも話題にします。
学生と接していると、これまで葬式に一度も参列したことがない若者が多くいました。動物ではなく人間の葬式です。医療技術が進歩し、人生80年時代です。人の死に接することがなくなった。死は身近なものではなく、ゲームの世界にしかない。
動物の命は15〜16年サイクルで、生き死にを教えてくれます。今の時代、動物を通じて人間の命を考える「動物介在教育」は、重要だと思います。




