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「禅」を基本に主体的な学びを実践…AI時代を生き抜く人材育成

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「禅」を基本に主体的な学びを実践…AI時代を生き抜く人材育成

花園中学高等学校では「座禅」を通し、「禅の心」の理解を進める 花園中学高等学校では「座禅」を通し、「禅の心」の理解を進める

 人工知能(AI)の発達で、今ある仕事がAIに取って代わるなど人類の暮らしが大きく変化すると予測される中で、教育現場が大きく変わりつつある。文部科学省による大学入試改革も、これまでの知識の詰め込み中心から、思考力・表現力を養成する授業へと変革する方向で、カリキュラムにも工夫が求められている。グローバル社会に活躍できる人材を育成するため、生徒が主体的に学ぶ場をつくる取り組みが着実に進んでいる。

オンライン英会話で実力向上

 花園中学高等学校(京都市)は、「禅」の教えを軸としたグローバル教育で、真の国際人材の育成を目指している。高い語学力を育成したうえで、日本人としての誇りや文化を発信できる力を養う狙いだ。福田篤校長は「禅は鎌倉時代、室町時代の戦国武将の後ろ盾となったほか、今や世界の経済のリーダーたちも注目している」と指摘。実際に米国のIT企業でも、意識を活性化し、集中するトレーニングを実施するため、研修などに「禅」を取り入れる動きもあるという。

 同校は、2016年4月に従来の中高一貫コースに代わり、「スーパーグローバルZEN」「ディスカバリー」の2コースをスタートさせた。語学力を高める取り組みとして活用しているのは、タブレット端末を使って、フィリピン講師の遠隔授業を受ける「オンライン英会話」や、数学や理科を英語で学ぶ「イマージョン授業」だ。受験対策としてはもちろん、世界と渡り合うコミュニケーション能力を身に着ける効果を狙う。

 そして、「禅の心」を理解するため、座禅の授業も取り入れている。福田校長は「AIなどがもたらす第4次産業革命を前に、禅を基本に置いた教育を進めている。禅は日本文化の代表的なものを生み出しており、真の日本人の育成を目指している」と話す。新コース設立1年を経て、生徒の意欲向上がみてとれるといい、日本から世界へ情報発信ができる人材の育成に手ごたえを感じている。

世界のだれも知らないことをテーマに

 一方、生徒の主体的な学習を引き出す取り組みとしては、広尾学園中学校・高等学校(東京)の医進・サイエンスコースも注目されている。6年間を通して、国内外の医系・理系大学への進学を可能にする実力を身につけながら、医師、研究者として必要なマインドの育成を目指すコースだ。授業、研究活動、中高大・産学連携の3本柱を特徴とし、これらを支えるツールとして英語教育、ICT 教育にも積極的に取り組んでいる。

 このコースの特徴は「世界のだれも知らないことを調べる」という未知なる問題へのアプローチ術を学ぶことだ。生徒自身がテーマを探し、インターネットを使って情報を収集し、それを吟味する力を養う。知識や正解を教えてもらうのではなく、情報の集め方や論理的な思考を学ぶ。自分で見つけ出した新規性のあるテーマを遂行するために、中高の枠にとらわれない高い専門知識・技術を身につけようとする姿勢を後押しする。

仲間との協力通じ、自己肯定感を得る

 また、宝仙学園中学校・高等学校(東京)の理数インターコースは、論理的に考える力「理数的思考力」や、心と心を通わせる力「コミュニケーション能力」、発表する力「プレゼンテーション能力」の3つの能力の育成を掲げる。英語や数学などの主要教科をじっくり学習するほか、教科の枠にとらわれない学校独自のカリキュラムを設け、物事を論理的に考え、人とつながり結び付ける力の育成に取り組む。

 独自カリキュラムでは、プログラミング教育を題材にして、互いを知り、仲間と協力するコラボレーション(共同作業)の意義を学ぶなど、さまざまな取り組みを試みている。自分のアイデアを発表する場があり、それを互いに評価しあうことで、学校組織が「自己肯定感」を高めあう集団に変わっていくことを目指す。

 私立中高一貫校経営のコンサルティングなどを手掛ける森上教育研究所(東京)の森上展安代表は「スマートフォンなどのヒット商品は、『あったらいいな』という発想から生まれたもので、こうした発想を子供たちに伝えるのは簡単ではない。日本の伝統の禅は、考案する訓練を日々行うことで、教育に取り入れるのでたいへん興味深い試みだ。インターネットの次の技術革新を見据えると、『経験』の価値は貴重で、教育現場では価値のある『経験』を積ませる取り組みがますます増えるだろう」と話している。

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