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【文芸時評】決断するストレス 7月号 早稲田大学教授・石原千秋

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【文芸時評】
決断するストレス 7月号 早稲田大学教授・石原千秋

 いま勤務している早稲田大学は留学生が多い。留学生がふつうにいるキャンパスの光景は悪くない。大学院で留学生を教えるにはまず文章の添削からはじまるから手間はかかるが、ほとんど外国に行かない僕にとっては貴重な異文化体験で、純粋に面白い。

 いろいろな話を聞けるのもいい。韓国からの留学生はファンタジーを書いて韓国で「出版」して、学費と生活費を自分で稼いでいる。たくましい。実は、はじめは日本語で小説を書いて日本で出版できればと思っていた。ところが、その可能性は別にして、日本の本の印税率が10パーセントなのを知って、これでは生活ができないと諦め、韓国語での「出版」に踏み切ったのだという。

 いま「出版」とわざわざカギ括弧でくくったのは、紙の本ではなく電子出版だからである。それだと印税は50パーセントほどだという。価格は紙の本のほぼ半額だというが、それでも紙の本の印税率に直せば25パーセントである。日本でも電子出版一本ならば同じような印税率になるようだ。

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