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【書評倶楽部】古美術鑑定家・中島誠之助 『陽明丸と800人の子供たち』(北室南苑編著) 日米露の人々の人類愛

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古美術鑑定家・中島誠之助 『陽明丸と800人の子供たち』(北室南苑編著) 日米露の人々の人類愛

古美術鑑定家の中島誠之助さん 古美術鑑定家の中島誠之助さん

 著者は石川県在住の女流書家、篆刻(てんこく)家。これは北陸人の持つ忍耐強さとめげない探求心が、人類愛という大いなる力に支えられて成し遂げた感動の物語である。

 2009年、ロシアの古都・サンクトペテルブルクで開かれた篆刻展の会場で見知らぬ女性から話しかけられる。それが90年前の出来事を現代に引き戻し、著者を国際交流と日本人の栄光を訪ねる新たな世界へ導くことになる。

 「あなたのお名前はキタムロさんですよね。ムロランとは何か関係がありますか」と尋ねられる。その女性はオルガ・モルキナと名乗り、祖父の運命を語り出したのだ。

 ムロランとは北海道の室蘭ではないのだろうか。怪訝(けげん)な著者にモルキナさんは「90年前、(子供だった)祖父を助けてくれた船の船長を探してほしい」と頼んだのだ。

 モルキナさんから渡された資料には、1920年頃のロシア内戦時に戦火を逃れた子供たち約800人がヨウメイマルに乗り、ウラジオストクから脱出、室蘭経由で太平洋、大西洋と回って無事、両親のもとへ帰ったとある。

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