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夏の名物メロンまるごとクリームソーダ 茨城県産に「魔法」かけ続け11年

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夏の名物メロンまるごとクリームソーダ 茨城県産に「魔法」かけ続け11年

メロンまるごとクリームソーダを生み出した井坂紀元さん。「勝手にメロン大使」を名乗り、県産メロンのPRに走り回っている=つくば市 メロンまるごとクリームソーダを生み出した井坂紀元さん。「勝手にメロン大使」を名乗り、県産メロンのPRに走り回っている=つくば市

 日本一の生産量を誇る茨城のメロンをPRしようと考案された「メロンまるごとクリームソーダ」が、発売から11年となった今も根強い人気を博している。県産メロンの甘みと大胆な盛り付けが、一度味わった人の心をつかんで離さず、夏場の野外イベントに欠かせない「名物」にまでなっている。

 メロンまるごとクリームソーダは、種を取って冷凍した2Lサイズのメロンにソーダを注ぎ、上にバニラアイスを添える。ストローでソーダを飲むと、溶け出したメロンの果汁が口の中に広がる。価格は場所や時期によっても異なるが、900円程度に設定されている。

◆赤字・生産者反発も

 これを考案したのは、居酒屋を経営する「いばらき食文化研究会」(水戸市城南)の社長、井坂紀元(のりもと)さん(45)。果肉の色は問わないが、網目の入った県産メロンの使用にこだわってきた。6、7月のメロンの出荷時期に合わせ、県内5カ所の取引先からメロン約30トンを仕入れている。

 初出店は平成18年で、ひたちなか市で毎夏開催される野外音楽イベント「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」だった。見た目のインパクトが受けて行列ができ、用意した2千個が完売。主催者側も「名物になるよ」と太鼓判を押した。さらに、イベントの出演者がネットで紹介したため、知名度が上昇。主催者の予想通り「名物」に成長していった。東京都などで行われるフードイベント「まんパク」でも人気商品となっている。

 今でこそ順風満帆だが、最初は思うようにメロンを確保できず、赤字を出すこともあった。

 また、メロンを冷凍することに対し、生産者からは「うちのは生で食べた方がおいしい」と反発されることもあったが、県内には興味を示す業者もあり、メロンの調達にめどが立った。

◆「勝手に大使」奔走

 「茨城にはおいしいものがいっぱいあるのに、提供する店がないのはもったいない」

 こう話す井坂さんは東海村出身。東京の会社を辞め、14年に水戸市で県産食材だけを扱う居酒屋「酒趣(しゅしゅ)」を開いた。今年4月には、つくばエクスプレス研究学園駅(つくば市)近くに2号店を構え、観光地の映像を流して茨城の魅力を発信している。

 自分の名刺には「勝手にメロン大使」と印刷している。「高級メロンにも負けていないし、値段以上の価値がある」と県産メロンの良さを語り、東奔西走する日々だ。その行動力は、水戸市が発行する冊子「ミトノート」にも取り上げられ、「茨城のメロンに魔法をかけた男」と評された。

 メロンと向き合い、生産者の苦労や後継者不足も知ることになった。「もっともっとメロンをPRし、農家を支えたい」とメロン農家の支えになることにも意欲を燃やしている。(海老原由紀)

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