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【書評】論説委員・佐藤好美が読む『いのちつぐ「みとりびと」第3集』國森康弘写真・文 都会の在宅看取りを追う

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【書評】
論説委員・佐藤好美が読む『いのちつぐ「みとりびと」第3集』國森康弘写真・文 都会の在宅看取りを追う

『いのちつぐ「みとりびと」第3集』國森康弘写真・文 『いのちつぐ「みとりびと」第3集』國森康弘写真・文

 在宅看取(みと)りは、人生を旅立つ人が、残される者に命をつなぐバトンリレー。写真シリーズ「いのちつぐ『みとりびと』」からは、その実感が伝わる。写真家でジャーナリストの國森康弘氏が、滋賀県の中山間地、東北の被災地に続き、都会の看取りを追った。

 東京都小平市のホームホスピス「楪(ゆずりは)」は、一人の主婦が平成26年に立ち上げた。ホスピスで母親を看取った温かな経験を伝えたい、というのが動機。集合住宅の1階を改装し、高齢者数人による共同生活の場を実現。寝たきりの人、がんの進んだ人、身寄りのない人などが介護職とともに暮らし、医師や看護師、リハビリ職が訪問で支える。

 入居者とスタッフが一緒に夕食の餃子(ぎょうざ)を作り、テーブルピンポンを楽しむ様子からは生活の音やにおいなど、病院とも施設とも違う空気感が伝わってくる。

 カメラは一人一人を追う。「『もうひとつのお家』ができたよ」(9巻)では日常がつづられ、「よかった、お友だちになれて」(10巻)では、角突き合わせた入居者が心を通わせる。「さいごまで自分らしく、美しく」(11巻)では、ともに暮らした女性の死を嘆く高齢者を、女性の娘が慰め、「みんなでつくる『とも暮らし』」(12巻)では楪の誕生が描かれる。

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