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【書評】文筆家・木村衣有子が読む『東京ひとり歩き ぼくの東京地図。』岡本仁著 変わることが当たり前の街で、変わらないものを探す

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【書評】
文筆家・木村衣有子が読む『東京ひとり歩き ぼくの東京地図。』岡本仁著 変わることが当たり前の街で、変わらないものを探す

『東京ひとり歩き ぼくの東京地図。』岡本仁著 『東京ひとり歩き ぼくの東京地図。』岡本仁著

 「消えていくものについて懐かしんでみても、この街に住むと決めた以上は仕方がないことなのである。とはいえ『変わらない風景』というものが、心の拠(よ)り所(どころ)のひとつであることも確かだ。だから、変わることが当たり前の街で、変わらないものを探す」

 編集者の岡本仁さんによる、写真と文章を組み合わせた東京案内『ぼくの東京地図。』は、サブタイトルに「東京ひとり歩き」とある。そのとおり、岡本さんはひとりで、ひたすら、東京を歩く。速度を競うわけではない。健康のために、というわけでもなさそうだ。風景に目をとめたり、なにかしら食べもの飲みものを口にしたりと、小休止もふんだんにはさまれる。ページを繰ってちょうど折り返し地点には「友人と歩く」と題し、これまで馴染(なじ)みのなかった界隈を案内してもらう章もある。でも、基本的にはひとりで歩く。ひとりだと、誰かと目配せなどはできないぶん、孤独も道連れとなる。

 はじめて東京をひとり歩きしたのは20歳になる手前だという。そう、岡本さんは東京出身者ではない。とはいえ、もう40年以上ここで働き、暮らしてきたはずだ。それでも視点には、まだまだ瑞々(みずみず)しさがあふれる。

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