産経ニュース

【話の肖像画】俳優・仲代達矢(1) 往年の映画スター役を熱演

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【話の肖像画】
俳優・仲代達矢(1) 往年の映画スター役を熱演

俳優・仲代達矢さん(伴龍二撮影) 俳優・仲代達矢さん(伴龍二撮影)

 〈主演した「海辺のリア」(小林政広監督)が6月3日、全国公開される。代表作「乱」(昭和60年、黒澤明監督)と同じく、シェークスピアの「リア王」を翻案。傲慢で家族を振り回し、今は認知症となった往年の映画スター、桑畑兆吉役で、黒木華や阿部寛らを圧倒する熱演を披露している〉

 脚本には、小林監督が「仲代達矢氏への敬意から書いた」と書いてありました。元映画スターで、私がかつて主人公の(架空の戦国武将)秀虎を演じた「乱」と同じくリア王を元にしているなど、私に重なる部分が多い主人公です。

 「乱」は、神の視点で秀虎と子供たちの悲劇的な争いを描いた作品でした。しかし今回の兆吉は認知症で、世の中の常識を外れてさまよい歩いている。周囲は迷惑しますが、(かつてのいさかいも忘れ)「あんた、どちらさん?」という状態の兆吉は案外幸せなんじゃないか。認知症や高齢者の問題は深刻ですが、私はユーモアのある、喜劇的な作品だと思って演じました。

 〈小林監督とは、「春との旅」(平成22年)、「日本の悲劇」(25年)に続いて3本目となる〉

 いずれも老い、終末がテーマです。小林監督にひかれる理由は、まず企画の大半が彼のオリジナルだということ。最近の邦画は(興行成績が見込める)原作ものばかりですからね。

 もう一つは、せりふがいい。下手な脚本家だと、説明的なせりふが多いんです。たとえば、(「切腹」「日本のいちばん長い日」などで知られる脚本家の)橋本忍さんは、人間関係から自然に生まれ、観客に想像の余地を残すせりふが多かった。小林監督のせりふもまさにそうなのです。

続きを読む

「ライフ」のランキング