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【正論】将来見据え、日本にふさわしい皇室のあり方の議論を 学習院大学学長・井上寿一

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【正論】
将来見据え、日本にふさわしい皇室のあり方の議論を 学習院大学学長・井上寿一

学習院大学学長の井上寿一氏 学習院大学学長の井上寿一氏

 別の観点からの問題もあった。有識者会議による専門家に対するヒアリングでは譲位の政治利用の可能性を危惧する意見が表明された。譲位を制度化するにしても、天皇による恣意(しい)的な譲位や時の政権の圧力による譲位などを回避する方法はあるのか。有識者会議の「論点の整理」は、「ある年齢に達すれば機械的に退位する制度としない限り」解決困難であると示唆している。しかし「ある年齢」とは何歳なのか。決めるのはむずかしい。

 最終報告はさらに、譲位後「皇族数の減少問題」に言及している。皇位継承者を直系男子に限ることなく、たとえば笠原英彦慶応大学教授が提唱するような「女性皇族の配偶者として旧皇族の男系男子子孫の中から婿養子をとる方策」などの検討も必要である。

 ≪天皇陛下の存在は揺るがない≫

 有識者会議の最終報告は以上のような課題の解決の方向づけを国会の議論に委ねている。昨年8月の天皇陛下の「お言葉」によって、事態の緊急性が明らかになったことを踏まえれば、最終報告の立場はやむを得ないだろう。

 他方で国会が審議するのは一代限りの特例法案である。法案が成立しても課題は残る。それでも衆参両院の正副議長の見解は、皇室典範の改正による譲位の制度化を求める国民世論に配慮した特例法案を示しており、法律論とは別に政治的な文脈において評価に値する。国会の議論が国論を二分することなく、国民の総意の形成につながることを期待したい。

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