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【書評】元日銀副総裁・藤原作弥が読む『満洲文化物語 ユートピアを目指した日本人』喜多由浩著 中国共産党も学んだ日本の“夢”の数々

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【書評】
元日銀副総裁・藤原作弥が読む『満洲文化物語 ユートピアを目指した日本人』喜多由浩著 中国共産党も学んだ日本の“夢”の数々

『満洲文化物語 ユートピアを目指した日本人』喜多由浩著 『満洲文化物語 ユートピアを目指した日本人』喜多由浩著

 「13年しか続かなかった幻の国マンチュリア-」とヒロインが哀切のこもったソプラノで歌い上げ、満州国を構成する五民族の人々が序曲「マンチュリアン・ドリーム」を高らかに合唱する。ミュージカル「李香蘭」のオープニングだ。日本人・山口淑子(よしこ)が中国人・李香蘭として活躍した半生を歌と踊りでつづったものだが、華やかなドラマには満州国建設の夢が込められていた。もっとも次第に暗黒化してゆく日本国内の状況とは対照的だったが…。

 産経新聞連載を書籍化した本書は、近代国家の道を歩み始めた日本が、そのフロンティアとしての理想郷・満州に“王道楽土”のグランドデザインを描こうとした歴史を振り返る。日本よりずっと発達していた上下水道、水洗トイレ、近代的ビルが林立する都市計画などのさまざまな実験…。そこに住んだ人々。

 私が女優の李香蘭こと山口淑子、木暮実千代、映画監督の山田洋次、漫画家の赤塚不二夫、作家の安部公房、日銀総裁の三重野康…らの知己を得たのも、満州出身という同じ出自の縁だった。

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