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【正論】ゲノム編集に「倫理」の歯止めを 国家間に違い鮮明、テクノロジー・アセスの作業を行うべきだ 東京大学客員教授・米本昌平

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【正論】
ゲノム編集に「倫理」の歯止めを 国家間に違い鮮明、テクノロジー・アセスの作業を行うべきだ 東京大学客員教授・米本昌平

 問題の一つは、この論文が国際的な専門誌である『ネイチャー』と『サイエンス』に倫理的理由で掲載を拒否され、北京で発行されている専門誌に発表されたことである。ヒトの受精卵の扱いに関する価値判断で、国家間に違いがあることが鮮明になったのである。

 この問題に対する日本社会の反応は恐ろしく鈍い。だが重要問題であり、この機会に正攻法を取るべきであろう。ゲノム編集技術が、技術・倫理・法律・価値観などの面でどのような形の問題であるのか、バランスのとれた全体像を描いて社会に対して提供する、テクノロジー・アセスメント(技術評価)の作業を行うべきだ。

 価値に関わる問題なのだから立法府の下に予算を確保し、信頼に足る研究者の集団に報告書作成を委ねるのである。92年に答申をまとめた脳死臨調(臨時脳死及び臓器移植調査会)の総経費は2年で1億6千万円であった。空転する国会の1日の経費に比べれば、安いものである。(東京大学客員教授・米本昌平 よねもとしょうへい)

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