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【正論】ゲノム編集に「倫理」の歯止めを 国家間に違い鮮明、テクノロジー・アセスの作業を行うべきだ 東京大学客員教授・米本昌平

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【正論】
ゲノム編集に「倫理」の歯止めを 国家間に違い鮮明、テクノロジー・アセスの作業を行うべきだ 東京大学客員教授・米本昌平

 1960年代に成立した初期の分子生物学はもっぱら細菌を研究対象とし、遺伝情報はDNAの塩基配列が担い、これがRNAに写しとられてタンパク質が合成される、DNA→RNA→タンパク質という図式を確立させた。この時代、「DNAは生命の設計図」という比喩は迫真性をもっていた。

 ところが21世紀に入って、哺乳類や植物の全ゲノムが解読されると、高等生物ではタンパク質をコード(暗号指定)するのはゲノムの一部であり、その大半はさまざまな長さのRNAに読み換えられて、遺伝子の発現を多様な形で調節していることが判明した。こうなると核内にあるDNAは、真核生物の細胞というパソコンが必要な時に必要な情報を取り出す「USBメモリー」に似た役割にまで引き下がってしまう。もう「DNAは生命の設計図」という静的な比喩の時代ではないのである。

≪どこまで技術を使ってよいのか≫

 現在の生命科学は、発生分化というダイナミックな過程の解明に向かっており、当然、ゲノム編集もこの局面で活用される。ゲノム配列が分かっていさえすれば、ヒトを含むあらゆる生物で、特定の遺伝子を簡単にかつ効率よく停止させたり、操作したりすることができるのだから、研究者の期待はふくらむばかりである。

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