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【正論】ゲノム編集に「倫理」の歯止めを 国家間に違い鮮明、テクノロジー・アセスの作業を行うべきだ 東京大学客員教授・米本昌平

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【正論】
ゲノム編集に「倫理」の歯止めを 国家間に違い鮮明、テクノロジー・アセスの作業を行うべきだ 東京大学客員教授・米本昌平

≪生命科学の静的な時代は過ぎた≫

 生命科学の領域で「ゲノム編集」という技術が波紋を広げている。ちなみにゲノムとは、ある生物の全DNA配列のことである。

 もともとは細菌が、自分の中に侵入してきたウイルスのDNA配列を見つけ出して、その箇所だけを切断する能力があることが見つかったのが発端である。5年前、この機能を持つ酵素と、切断箇所を指定するRNAを組み合わせれば、理論上はあらゆる生物で、望む遺伝子を停止させることができ、うまくすれば、その箇所に新しいDNA配列を組み込む技術として確立したのである。

 これがゲノム編集技術であり、生命科学の研究法を一変させてしまうかもしれないのだが、この事態が社会の側にうまく伝わってはいない。その一因は、半世紀前に登場した分子生物学が前提とした生命像が、今ではすっかり変わってしまったことにもある。

 46億年前に地球が生まれ、38億年前には生命が生まれた。12億年前に細胞内に核を持ち、ここにDNAを集中させて管理する真核生物が現れたが、それまではDNAが裸のまま浮いている細菌のような生物しかいなかった。

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