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【書評】童話作家・赤羽じゅんこが読む『我らがパラダイス』林真理子著 介護負け組の痛快な逆襲劇

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【書評】
童話作家・赤羽じゅんこが読む『我らがパラダイス』林真理子著 介護負け組の痛快な逆襲劇

『我らがパラダイス』林真理子著 『我らがパラダイス』林真理子著

 「ここまで生々しく書くのか」と思いながら読んでいたのが、読み終わってみると「よくぞここまで書いてくれた」に変わる、そんな介護小説だ。

 細川邦子、田代朝子、丹波さつきの3人は、予想していなかった形で介護問題に直面する。口は悪いが親思いで責任感ある彼女たちは、なんとか親にみじめな思いをさせたくないと奮闘を始める。

 その3人が東京・広尾の超高級介護施設セブンスター・タウンで出会う。さつきがウエートレスを勤めた職場だが、あとの2人も介護の費用を得るためと働きだしたのだ。まず、この施設の住人が個性的だ。介護されている側なのだが、まるで社交界にでもいるような人間模様を繰り広げる。音楽会を開きハロウィーンでは仮装で張り合い、恋もする。生活の心配のない裕福な大学生のようなのだ。

 一方、邦子、朝子、さつきの介護事情は悪化するばかり。しだいにセブンスター・タウンの住人と自分の親たちの介護格差が許せなくなる。お金がある、なしで、こんなにも扱いに違いが出るのかと暗澹(あんたん)たる思いにかられるのだ。身内の理解のなさにも追い詰められた彼女たちは、セブンスター・タウンの空き部屋に親たちを住まわせる一世一代の「計画」を企てる。

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