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【話の肖像画】前衛芸術家・篠原有司男(5) 仁王像と勝負 前に行くだけ

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【話の肖像画】
前衛芸術家・篠原有司男(5) 仁王像と勝負 前に行くだけ

個展会場で妻、乃り子さんと=東京都品川区の「山本現代」 (原田史郎撮影) 個展会場で妻、乃り子さんと=東京都品川区の「山本現代」 (原田史郎撮影)

 作品が良くなければ、ニューヨークの美術ジャーナリズムからは相手にされない。中途半端では駄目。だから、いい作品を創ろうと頑張る。日本にいたら考え方が小さくなってしまう。インターナショナルじゃないから。ニューヨークにきたのは大成功。僕は運が良かったとつくづく感じる。アメリカでは作品が強く、メッセージがなければ見てもらえない。だからオートバイ彫刻や絵画も色が激しくラジカルになる。ニューヨークはアーティストにとっては楽しいところ。巨大美術館がいくつもあり、古今東西の作品がそろっているから勉強になる。でも銃社会なのでいつ撃たれるか分からない。生活に緊張感がある。9・11のときは、自宅の近くから旅客機が衝突して煙が上がっているのが見えた。ニューヨークはパニック状態だった。でも僕は冷静だった。少年のころ、東京で空襲を体験しているから。

 〈日本の若者は内向きになり、世界に出たがらないといわれる〉

 世界を感じることはいいこと。コンピューターだけじゃ駄目。皮膚感覚が大事じゃないかな。やろうと思えば何でもできる。人生はオートバイだよ。バックのギアがない。ガンガン前に行くしかない。僕は生まれ変わったとしても美術家をやる。無から有を創るわけだから、こんなにエキサイティングな商売はないじゃない。(聞き手 渋沢和彦)=次回はオペラ歌手の岡村喬生さん

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