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【話の肖像画】前衛芸術家・篠原有司男(5) 仁王像と勝負 前に行くだけ

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【話の肖像画】
前衛芸術家・篠原有司男(5) 仁王像と勝負 前に行くだけ

個展会場で妻、乃り子さんと=東京都品川区の「山本現代」 (原田史郎撮影) 個展会場で妻、乃り子さんと=東京都品川区の「山本現代」 (原田史郎撮影)

 〈常に新しいテーマを貪欲に求め、世界を歩き精力的に制作し続ける。今年9月には愛知県の刈谷市美術館で個展が予定され、制作に追われる毎日だ〉

 僕はいつも心揺さぶられるものに飛びつき、無責任に作品のモチーフに取り入れてきた。たまに作品が売れるとヨーロッパに行ったり南米に行ったりして世界を歩き、テーマを探す。いろいろなものを見て教養を深めることが大事。金はそのために使う。なくてもへっちゃら。慣れているから。

 3年前、奈良の興福寺に行って阿修羅像を見た。「きれいだが、すごくはない。優し過ぎる」と思った。そのとき売店でポストカードを見つけた。天平時代に造られた当時を再現し、全身が朱色に塗りたくられた阿修羅像だった。「まるでポップアートじゃないか。1千年以上前の人々はこれを拝んでいたんだ」と驚いた。これをモチーフにして、すぐに「阿修羅モーターサイクル」を完成させた。6本の腕がにょきにょきと四方に突き出した阿修羅がバイクにまたがった彫刻だ。東大寺南大門の仁王像も極彩色に塗り替えて当時の姿を再現したら面白い、といつも思っている。運慶、快慶の仁王像は筋肉モリモリで、スケールがでかくて力強い。それを見たら黙っているわけにはいかない。今、彼らを敵にして闘いたい。負けてたまるかという気持ち。彫刻の模範になっているから、そういうのをぐちゃぐちゃにしたものを創りたい。段ボールを使ったポップな仁王像をね。完成したら日本で発表したい。

 〈現代美術の中心地、ニューヨークを拠点に活動を続け、ニューヨーク・タイムズをはじめ、多くのマスコミに取り上げられてきた〉

 現代美術は難しいと思われている。でも、僕は美術はみんなに元気を与えることだと思っている。85歳にもなれば普通は隠居生活だろうが、そんな気はさらさらない。暗さを吹っ飛ばすような面白く刺激的なものを創りたいね。

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