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【話の肖像画】前衛芸術家・篠原有司男(4) 憧れのNYで妻と格闘生活

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【話の肖像画】
前衛芸術家・篠原有司男(4) 憧れのNYで妻と格闘生活

ニューヨークの自宅ロフトの屋上で制作。洗濯物を干しているのが妻、乃り子さん (1985年ごろ) ニューヨークの自宅ロフトの屋上で制作。洗濯物を干しているのが妻、乃り子さん (1985年ごろ)

 〈1969年、ロックフェラー三世基金の奨学金を得て渡米。憧れの地では貧乏生活が待っていた〉

 奨学金がもらえた1年間はちゃんと生活できた。でも帰りたくなかったから、そのまま居続けたんだ。友人のところに居候したりしてね。そのうちにニューヨークのソーホー地区で暮らし始め、グリーンカード(永住許可証)を取得した。当時は倉庫街で、人がいない寂しい場所だった。日本円にしたら100円以下でコーヒーにトースト、卵の朝飯が食えた。それを食べると、「やるぜ」と元気が出た。

 いつも貧乏だったが、たまに絵が売れるとダウンタウンの汚い場末のバーに繰り出した。そこでは朝からベトナム戦争から戻った体のデカイ連中がべろんべろんに酔っ払っていて怖かった。飲んでいても緊張感があり、ニューヨークらしさを感じたよ。

 〈72年、代表的なシリーズとなる「オートバイ彫刻」が誕生した。拾ってきた段ボールや廃材を使って、ほぼ実物大のオートバイの形にした作品。ずぶといタイヤとむき出しのエンジン。暴力的でエネルギッシュな彫刻は、ニューヨークという大都市の熱気と喧噪(けんそう)を反映しているかのようだ〉

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