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【話の肖像画】前衛芸術家・篠原有司男(3) パンチ炸裂 反芸術に燃える

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【話の肖像画】
前衛芸術家・篠原有司男(3) パンチ炸裂 反芸術に燃える

ウィリアム・クラインが撮影した「ボクシング・ペインティング」を行なう篠原有司男 =1961年 (C)William Klein ウィリアム・クラインが撮影した「ボクシング・ペインティング」を行なう篠原有司男 =1961年 (C)William Klein

 〈ネオ・ダダの活動と同時期、自身の代名詞となった「ボクシング・ペインティング」を始めていた。空き地の塀に紙を貼り、手に巻きつけた布に墨汁を染み込ませてパンチした。観客の前で墨汁や絵の具のしぶきを浴びて激しく動き回るアクションも重要な身体表現。関西ではすでに具体美術協会が結成され、実験的な美術の動きが起こっていた〉

 具体の連中が足で描いたりしていたことは知っていて、僕も戦前の型にはまった美術から抜け出すことを考えていた。そのころ、白井義男が世界チャンピオンになったことでボクシングブームが続いていた。街頭テレビで試合を見たこともあり、これでやろうと思いついたんだ。カメラを向けられると気分が一気に盛り上がる。「よし、行くぜ」という感じ。何ともいえない恍惚(こうこつ)感があった。米国の写真家、ウィリアム・クラインが写真を撮ってくれて、すごくカッコよかった。これはいけると確信した。でも日本の評論家は一切コメントしなかった。

 〈50年代半ばから60年代半ばにかけて、世界各地で「反芸術」といわれる美術運動が起こっていた。伝統的な芸術の概念を否定し、芸術の本質を問い直す作品が誕生していた>

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