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【手帖】日本のパン文化をリードする人々

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【手帖】
日本のパン文化をリードする人々

「パンと昭和」 「パンと昭和」

 日本のパン文化をリードする人々 自宅や職場の近くにあるとうれしいものの一つに、パン屋さんがある。彼らはどんな思いで日々、パンづくりに取り組んでいるのか。『パンの人 仕事と人生』(フィルムアート社・1600円+税)は、パン好きの間でよく知られている5人の職人・経営者のインタビュー集。

 東京・浅草で4代続く「パンのペリカン」は、食パンとロールパンのみのスタイル。若き4代目、渡辺陸さんは、先代の教え通り「ご飯のように食べられるパン」、つまり変に自己主張せず、他の食材の名脇役になれるようなパンを理想としている。日々食べている近所の常連たちの声が、伝統の味を守ってくれるという。

 他にも、原料の小麦から栽培し“体に良いパン”を追求する「空と麦と」の池田さよみさん、パンのみならず食のセレクトショップを目指す「365日」の杉窪章匡さん、豊富な種類を切らさず出し続ける「Zopf(ツオップ)」の伊原靖友さん、フランスのパン文化を伝え続ける「ビゴ東京」の藤森二郎さんが、パンに関わる半生を語っている。

                   

 ◆パン食の受容史

 いまや“第2の主食”ともいえるパンは、どのように日本人の食卓に広がったのか。その歴史を解き明かすのが『パンと昭和』(小泉和子編、河出書房新社・1850円+税)だ。編者は昭和のくらし博物館(東京)の館長。

 幕末の開国とともに外国人居留地で始まったパン作りだが、昭和初期まではパンは多くの日本人にとってハイカラな非日常の食べ物だった。本書によれば戦後、パンが日本人の食生活に定着した背景には、アメリカの食糧援助と小麦の輸出戦略があるという。「パンを食べると頭がよくなる」と本や広告で盛んに宣伝されるなど、パン食奨励キャンペーンの資料が興味深い。

 コッペパンと脱脂粉乳の給食、ロバのパン屋、ポップアップ式自動トースターなど、昭和を彩ったパン文化の数々が紹介されている。(黒沢綾子)

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