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【話の肖像画】米国立衛生研究所感染症部長・満屋裕明(2)みんなが使えなければ無意味だ

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【話の肖像画】
米国立衛生研究所感染症部長・満屋裕明(2)みんなが使えなければ無意味だ

裁判は負けたがすぐに第2、第3のエイズ治療薬開発を目指した=1987年、米国立衛生研究所の研究室(満屋裕明氏提供) 裁判は負けたがすぐに第2、第3のエイズ治療薬開発を目指した=1987年、米国立衛生研究所の研究室(満屋裕明氏提供)

 〈世界初のエイズ治療薬「AZT(アジドチミジン)」の開発成功で患者を救えると思ったのもつかの間、衝撃に打ちのめされた〉

 共同研究した米国の製薬会社が1987(昭和62)年4月、前例のないような高額で売り出したんです。患者1人の1年間の治療費は約1万ドル(当時約150万円)。使えるのは裕福な人だけで、多くの患者が買えずに死んでいきました。激しい怒りを感じた。この野郎と思った。みんなが使えなければ薬なんて無意味じゃないですか。

 AZTは米国立衛生研究所(NIH)の研究室のボス、サミュエル・ブローダー博士が製薬会社に共同研究を呼びかけたのに対して送られてきた薬です。実験で効果を確かめたのは僕だし、臨床試験で患者への有効性を調べたのもNIHです。

 製薬会社はエイズウイルスを怖がって扱おうとせず、患者の血液検査さえ拒んで何もしなかった。それなのに僕らに無断で勝手に特許を申請し、権利を独占した。これが、とんでもない値段になってしまった理由です。発売後、おかしいじゃないかと抗議しても、全く話を聞こうとしませんでした。

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