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【話の肖像画】米国立衛生研究所感染症部長・満屋裕明(1)世界初のエイズ治療薬発売30年

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【話の肖像画】
米国立衛生研究所感染症部長・満屋裕明(1)世界初のエイズ治療薬発売30年

満屋裕明氏 満屋裕明氏

 〈ウイルスの感染で免疫機能が破壊される病気のエイズは、1981(昭和56)年に米国で初めて患者が報告された。2年以内の死亡率が70~80%の死の病だったが、30年前に世界初の治療薬「AZT(アジドチミジン)」が発売されて治療が可能になり、多くの命が救われた〉

 現在、エイズ治療薬は約20種類ありますが、最初のAZTで治療の原理を示し、開発のきっかけを作れたかな。多くの患者が天寿を全うできるようになり、役に立ってよかったと思います。

 エイズを治療する薬の研究を始めたのは、熊本大学から米国立衛生研究所(NIH)に留学していた84年の4月でした。研究室のボス、サミュエル・ブローダー博士に提案されたんですが、前の年に仏パスツール研究所が原因はウイルスだと突き止めたばかりで、まだ分からないことだらけ。その研究に取り組むのは危険な挑戦でした。

 でも患者は増え続け、差別や偏見でかわいそうな死に方をしていく。そんな社会的に排除された人たちに尽くしたいと感じた。死ぬかもしれないけれど、医者は危険を冒す義務があり、命懸けが宿命なんだからとやってみることにしたんです。妻からも「誰かがやらなきゃ」と背中を押されました。

 〈エイズウイルスは人の免疫細胞に感染し、人体にはない逆転写酵素という物質などを使って自身を増殖させながら、免疫細胞を死滅させる〉

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