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【アート 美】ミュシャ展 祖国への思い込めた大作

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【アート 美】
ミュシャ展 祖国への思い込めた大作

「スラヴ叙事詩『原故郷のスラヴ民族』」1912年 プラハ市立美術館 3~6世紀のスラヴ民族の姿から、連作は始まる 「スラヴ叙事詩『原故郷のスラヴ民族』」1912年 プラハ市立美術館 3~6世紀のスラヴ民族の姿から、連作は始まる

 始まりは紀元3~6世紀、星が輝く夜。多神教の祭司が両腕を広げ、専制と戦争が終わるよう神に願う。迫り来る異民族におびえ、うずくまる2人のスラヴ人は、楽園を追放されたアダムとイブのよう。キリスト教の伝来以前、彼らは自然界の神々を崇拝する農耕民族だったという。やがてキリスト教がもたらされ、スラヴ語訳の聖書や典礼書が広がってゆく。

 ブルガリア皇帝シメオン1世(9~10世紀)やボヘミア王オタカル2世(13世紀)、スラヴ法典を制定したセルビア皇帝ステファン・ドゥシャン(14世紀)と、領土を拡大し権勢を誇ったスラヴの王らの栄光の場面もあれば、15世紀に宗教改革に取り組み処刑されたチェコの英雄、ヤン・フスらの闘いも叙事詩では克明に表現されている。

 注目すべきは戦争の場面だ。同展を監修した美術評論家、ヴラスタ・チハーコヴァーさんは「ミュシャはいつも、戦闘そのものではなく『戦いの後』を描いた」と指摘する。勝利しても、残るのはむなしさばかり。「教育、英知、慈悲の精神を信頼するフリーメーソンの思想に共鳴していたミュシャは『私の作品が目指すのは、人々の絆を破壊することではなく、彼らの間に橋を架けることだ』という言葉を残しています」

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