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【書評】作家・畑中章宏が読む 『死してなお踊れ 一遍上人伝』栗原康著 「アミダ。最高。オレ、仏」

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【書評】
作家・畑中章宏が読む 『死してなお踊れ 一遍上人伝』栗原康著 「アミダ。最高。オレ、仏」

 13世紀前半、伊予国(愛媛県)に生まれた一遍は、天台宗や浄土宗西山派に学んだあと、遊行を開始。41歳のとき、信濃国伴野荘(長野県佐久市)で「踊り念仏」を初めて踊った。「一遍たちは未知の領域にふみこんでいった。人間の限界の、限界の、さらに限界にこえてありえないような動きをみせはじめた」。こうした、非観念的で、非造形的な、「おこない」による浄土の獲得を栗原は鮮明に捉えている。

 一遍の「踊り念仏」は、空也上人に倣ったものである。しかし、鹿皮の衣をまとい、鹿角の杖(つえ)を持った空也も、動物と同化するまでには至らなかった。「虫けら上等」と踊り狂った一遍は、どこまでも先鋭な宗教家なのである。(河出書房新社・1600円+税)

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