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【話の肖像画】元ミュージック・ライフ編集長 星加ルミ子(5) ビートルズがいたから今日がある

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【話の肖像画】
元ミュージック・ライフ編集長 星加ルミ子(5) ビートルズがいたから今日がある

星加ルミ子さん 星加ルミ子さん

 編集長は、雑誌の編集を任されるだけでなくて、10人ぐらいの編集者の面倒も見なければならないんですね。自分より4、5歳下の若い編集者を使うのは大変なんです。私はビートルズの取材でもそうですが、使われ上手なほうで、絶対、使い上手にはなれないと思っていたんですね。

 1969(昭和44)年にアメリカでウッドストック(ロックの大規模野外コンサート)があって、ガラッと音楽シーンが変わるんです。それまでは、かっこいいとか、かわいいというのがスターだったのが、ギター(の演奏者)がスターになった。そういうのを見て、もう私の時代じゃない、若い子に任せた方がいいと。少し前に結婚していたんですけど、寿退社ということですんなり辞めました。その後も頼まれれば原稿は書いていましたけどね。

 〈ビートルズ来日50周年の昨年、20年ぶりに新著「私が会ったビートルズとロック★スター」を出版した〉

 今度の本では、若い人たちに問いかけたかったんです。私はよく電車に乗っていますけど、みんなスマホを見ています。スマホがあれば、ロンドンの地図からバスの路線から、なんでもすぐに出ますよね。でも、私は24歳のとき、今のように便利なものがなかった時代にビートルズの取材でほっぽり出されて、独りでロンドンに行きました。世界中の記者が断られても、私だけは何が何でも会ってやるというぐらいの意気込みでね。人間は究極状態に置かれると、自分の力でなんとかしなきゃいけないと一生懸命考えるんです。そういう力は私だけじゃなくてみんなが持っている。試したくない?って。

 私はビートルズに会って人生が変わったの。あの出会いがあったから今日まで「ビートルズの星加さん」でいられる。若いうちに経験することは大切なんです。だから、トークショーなんかでも若い人には言うんです。失敗しても、若いんだからやり直しがきくんだから、やってごらんなさいよ、ってね。(聞き手 小島優) =次回はウイルス学者の満屋裕明さん

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