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【書評】老学者の一徹、渾身の一撃 『ある在日朝鮮社会科学者の散策』朴庸坤著

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【書評】
老学者の一徹、渾身の一撃 『ある在日朝鮮社会科学者の散策』朴庸坤著

 主体思想の変質に強い不満を抱き、黄氏が亡命したときには「一派」とみられた著者も標的にされた。2004年には、金正日政権の非理に触れたくだりがある論文が問題視され、朝大副学長職などを解任。07年にはテレビ番組での発言によってすべての称号や肩書を剥奪される。

 この発言とは、1972年に朝大生200人を金日成首相(当時)の還暦祝いとして帰国事業に参加させ、北朝鮮に送った秘密を公にしたことだ。当時、朝大生を説得する役割を担ったことに対して、悔やみきれない過ちを犯した、と振り返る。

 「むすび」に《ささやかな抗弁権の表現》とあるが、中身は老学者の一徹、渾身(こんしん)の一撃といえるだろう。(現代企画室・2300円+税)

 評・喜多由浩(文化部編集委員)

 ●=火へんに華

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