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【話の肖像画】第一織物社長・吉岡隆治(1) 高感性のローテクが世界動かす

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【話の肖像画】
第一織物社長・吉岡隆治(1) 高感性のローテクが世界動かす

吉岡隆治社長 吉岡隆治社長

 〈従業員数50人ほどの小所帯。ほぼ100%が国内繊維大手の委託生産だった工場が、化学繊維の衣料用高密度織物を独自で開発・販売し、わずか20年でグローバル企業へと歩みを進めた。世界の高級ファッションブランド、一流のスポーツメーカーも厚い信頼を寄せる〉

 私たちは後発としてファッション衣料の世界に参入しました。それまでは大手繊維メーカーの委託で、産業資材として合成繊維の高密度織物を作っていました。弊社の高密度繊維は防水、防風の機能が優れていたため、スポーツウエア用のテキスタイル(生地)を作ったことがきっかけとなり、ファッション用に転化して、自社販売に乗り出します。

 しかし、機能の良さだけでは使ってもらえません。もっと風合いの良いもの、見た目が美しいもの、肌触りを重視したものが欲しいと、いろいろな声がありました。糸をよる回数や強さ、タテとヨコの糸の組み合わせ、織り方、織りの密度、織る際に糸を張る強さなど、一つ一つの事柄と地道に向き合い、愚直に試行錯誤を重ねました。

 3年越しでポリエステルのテキスタイルが出来上がりました。コーティングなどの表面加工をしなくても、雨傘用の生地と比べて3倍の耐水性があり、一振りするだけで乾いたようになりながら、やわらかな着心地を実現できたのです。フランスやイタリアの高級ブランドがコートに採用してくれました。

 ハリとコシがあり、仕立て映えがすると自負していましたが、紙のように折ることができ、小さくたためるのがおもしろいと、私たちが長所と気づいていなかった特徴を捉えて、褒めてくれました。高度な彼らの感性と響きあう製品だったのです。

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