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【自作再訪】岡井隆さん「土地よ、痛みを負え」 前衛短歌は「滅亡論」への反論

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【自作再訪】
岡井隆さん「土地よ、痛みを負え」 前衛短歌は「滅亡論」への反論

「信頼できる読者がいる、というだけでうれしい。今後も地道に書き続けていくだけ」と話す岡井隆さん(寺河内美奈撮影) 「信頼できる読者がいる、というだけでうれしい。今後も地道に書き続けていくだけ」と話す岡井隆さん(寺河内美奈撮影)

象徴や比喩を多用し、ときには虚構も扱う。

 短歌の革新を図った前衛短歌運動の旗手として知られる岡井隆さん(89)。30代で出した第2歌集『土地よ、痛みを負え』(昭和36年)には、伝統的なリアリズムとは一線を画す実験精神あふれる歌が並ぶ。短歌に濃密な思想性を持ちこんだ前衛短歌の記念碑的な一冊でもある。(聞き手 海老沢類)

                  

 《短歌を始めたのは、終戦直後の17歳のとき。歌人の両親の影響を受け、大結社「アララギ」にも入会。慶応大医学部卒業後も医師の傍ら作歌を続け、寺山修司や塚本邦雄さんらとともに前衛短歌運動の中心的な存在となっていく》

 戦後まもなく、「第二芸術論」というのが流行します。第一芸術はあくまで小説や戯曲。短歌や俳句は第二芸術で、日本の知性を表現するのには邪魔であり、やめた方がいい-。大まかに言えばそんな論です。この短歌滅亡論がすごい勢いで広がった。そのとき、塚本さんや僕が思ったのは「本当にそうかな?」という疑問です。

 象徴や比喩を多用し、ときには虚構も扱う。そういう手法も取り入れたら、短歌にももっといろんなことが可能じゃないかと。前衛短歌運動というのは、第一に短歌滅亡論に対する短歌をやっている人間からの反論だったんです。

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