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【電力・エネルギー探訪 提供:J-POWER】水資源を最大限活用、地球温暖化対応で水力発電に脚光

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【電力・エネルギー探訪 提供:J-POWER】
水資源を最大限活用、地球温暖化対応で水力発電に脚光

 すべての国と地域が地球温暖化対策に取り組むための枠組み(ルール)を定めた「パリ協定」が2016年11月に発効し、電源の低炭素化が今後、世界的に加速することになる。中でも注目されているのが、“天からの恵み”である水を利用して電気をつくる水力発電だ。国内の水力発電の約2割の設備容量(出力の合計)を占めるJ-POWER(電源開発)は、既存の水力発電所の効率化や小水力発電所の新規開発を積極的に進めている。その取り組みを追った。

戦後復興期から日本の電力を支えてきた佐久間ダム・発電所(静岡県浜松市)

戦後復興期から日本の電力を支えてきた佐久間ダム・発電所(静岡県浜松市)

CO2排出ゼロ クリーンな水力発電は純国産の優れた再生可能エネルギー

 水力発電は、ダムなどから流れ落ちてくる水の力で水車を回して電気をつくるクリーンな発電方法だ。純国産の再生可能エネルギー(再エネ)である水の力を利用し、発電過程では二酸化炭素(CO2)を排出しない。ダムから流す水の量を制御することで発電量を調整できるのが大きな特徴だ。クリーンでかつ電力需要に合わせて柔軟に発電量が調整できる優れた発電方法である。

 経済産業省資源エネルギー庁の「エネルギー白書2016」によると、揚水発電を含む国内の水力発電の設備容量(出力の合計)は、2014年度末時点で4960万キロワット(kW)。これは、原子力発電や火力発電なども含めた全電源の約2割に当たる。また、2014年度の水力発電の年間発電電力量は869億キロワット時(kWh)で、全電源の電力量の約1割を担っている。

 その水力発電設備をJ-POWERは全国61カ所に保有。総出力857万kWは国内のすべての水力発電設備の2割近いシェアを占めている。同社は1952年9月、戦後復興期の電力不足を解消するべく国の特殊法人として設立され、大規模な水力発電所や建設が困難な場所での水力発電所の開発を担ってきた。こうした経緯から多くの水力発電設備を保有しており、2004年に完全民営化した今では石炭火力事業・海外事業などにも展開している。

 同社の水力発電開発における技術力は折り紙つきで、特にダムや大規模地下構造物の建設では日本トップクラスの技術を有している。象徴的な開発案件が佐久間発電所(静岡県浜松市、1956年4月運開)とともに建設した佐久間ダムだ。ダムの高さ約156メートル、有効貯水容量2億544立方メートルは完成当時、日本一を誇った。建設にあたり、米国製の大型機械や新しい水力土木技術、工法を採用し、わずか3年でダムと発電所を作り上げた。佐久間における功績は、建設業界や建設機械業界に革命的な影響を与え、その後の技術革新と高度経済成長を支えることになった。

戦後復興期から日本の電力を支えてきた佐久間ダム・発電所(静岡県浜松市)

1953年(昭和28年)から始まった佐久間ダム・発電所の建設工事の様子

 同社は現在、エネルギー基本計画(2014年4月閣議決定)で推進の方向性が示された小水力発電所を積極的に開発しているほか、高経年化が進んだ既存の水力発電所のリパワリング、既設構造物の遊休落差等を活用した中小水力発電所の開発などを進め、水資源のさらなる有効活用に取り組んでいる。

古い発電所も最新技術でリパワリング 出力アップ!

 福島県と新潟県の県境に近い自然豊かな場所にたたずむ田子倉ダム。その豊富な水を利用して発電しているのがJ-POWERの田子倉発電所(福島県南会津郡只見町)だ。電力のピーク対応電源の役割を担う同発電所は、1959年5月に部分運転を開始し、61年11月に竣工。長期間の運転で機器が高経年化してきたため、4台の水車発電機(1~4号機)について2004年以降に順次、リパワリング工事に着手し、12年5月にすべての工事を完了した。

戦後復興期から日本の電力を支えてきた佐久間ダム・発電所(静岡県浜松市)

田子倉発電所(福島県只見町)のリパワリング工事の様子

 リパワリング工事では、水車の回転速度を毎分167回転から188回転にアップし、さらに水車の基準有効落差を105メートルから106.8メートルに高めた。こうした改善により、取水量は同一ながら、発電機1台の最高出力は更新前の9万5000kWから10万kWに5%アップし、4台の合計出力も38万kWから40万kWに増えた。これはわが国の一般水力発電所の中で、同社の奥只見発電所(福島県南会津郡桧枝岐村、56万kW)に次ぐ2番目の出力規模だ。

 「水車の性能はダムからの流水落差と水量により変化し、設備の劣化状態も部位によって異なります。これまでの発電所運用実績や設備状態を分析し、水車の設計条件と設備の更新範囲を決定しました。その条件を基に最新の解析技術を用い、発電効率を向上し出力アップを図りました」とは、同社で水力発電所の開発を統括する石黒友希夫氏。

戦後復興期から日本の電力を支えてきた佐久間ダム・発電所(静岡県浜松市)

石黒友希夫氏

 さらに、静岡県浜松市にある秋葉第一発電所と秋葉第二発電所でも、1958年の営業運転開始から60年近くが経過したため、リパワリング工事を実施。秋葉第二は、水車のコンクリート埋設部を全て流用とし、最新の解析・設計技術を用いて水車の羽根の形状を改良し、最大出力が400kW増の3万5300kWになって2016年5月から運転を開始した。秋葉第一(1、2号機)は現在工事を行っており、最高出力の合計は1900kW増の4万7200kWになる計画だ。

戦後復興期から日本の電力を支えてきた佐久間ダム・発電所(静岡県浜松市)

秋葉第二発電所(静岡県浜松市)のリパワリング工事の様子

 このほか、1956年に運転を開始した北海道上士幌町の糠平発電所(1、2号機)も2009年11月までにリパワリング工事を完了。同工事を完了または実施中の水力発電所は計4カ所となっている。

 「リパワリング工事は環境負荷を抑える工夫をして実施しています。例えば糠平発電所は、大雪山国立公園に位置するため、古いコンクリートの撤去には騒音や粉じんの少ない工法を採用するなど環境に対して万全の対策をとりました」(石黒氏)

 同社の水力発電所第1号である旧胆沢第一発電所(岩手県奥州市、1954年1月運転開始)は、国の胆沢ダム建設に合わせて廃止され、新たな胆沢第一発電所が2014年7月から運転を始めた。同発電所は大小2機の水車発電機により、少ない水量でも効率よく発電ができるよう、水資源の有効活用を図っている。

川の流れを使った小水力発電も着々と進行

 同社ではこのほか、貴重な水資源を最大限有効活用するため、未利用の水力資源を有効活用した小水力発電所の開発にも積極的に取り組んでいる。

戦後復興期から日本の電力を支えてきた佐久間ダム・発電所(静岡県浜松市)

「このき谷発電所」(福井県大野市、写真左側で未利用の高低差を利用している)

 16年12月には、最大出力199kWの「このき谷発電所」(福井県大野市)が営業運転を開始した。同社として61カ所目の水力発電所となる同発電所は、九頭竜ダム貯水池への注水口付近に堰を設けて水車発電機を設置し、これまで未利用だった水の高低差を利用して発電を行う。このほか、最大出力470kWの「くったり発電所」(北海道上川郡新得町)が15年4月に運転を開始。同発電所は、屈足ダムから放流している未利用の河川維持流量(川の流れを維持するために放流している水)を利用して発電している。

 「これまで使われていなかった小規模な水の流れを利用する小水力発電は、今後増やしていく方向」(石黒氏)という。

 国の長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)では、2030年時点の電力量に占める再エネの割合は22~24%と、現在の10%程度から大幅に増やすことになっている。J-POWERは水力の有効活用を進めるとともに、再生可能なクリーンエネルギーである風力、地熱発電などの開発にも取り組んでいる。

 提供:J-POWER(電源開発株式会社)

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