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【話の肖像画】トラベルライター・兼高かおる(4) 日本の良さが失われてゆく

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【話の肖像画】
トラベルライター・兼高かおる(4) 日本の良さが失われてゆく

西アフリカのベナンで=昭和40年代 西アフリカのベナンで=昭和40年代

 日本人のマナーは超一流、勤勉で美的センスにも優れている。日本の伝統文化は、世界に誇れるものです。世界各国を回ったことで私はそのことを改めて認識することができました。例えば、お茶を飲むとき、もう片方の手をカップの底に添えるだけでも外国人からは「きれいですね」と感心されるのですよ。日本には外国にはない、どこへ出しても恥ずかしくないものがあるんだって。日本人はそのことにもっと誇りを持っていいと思いますね。

 〈番組のナレーションを担当した兼高さんの日本語は、とても丁寧で上品だった〉

 よくそう言ってくださるのですが、私は意識したことがありません。たぶん、時代が良かったのでしょう。私の場合、家はうるさくなかったけど、世間がうるさかった。いろんな方が、社会が厳しくしつけてくれましたから自然にそうなったのです。お年寄りの前では頭を下げなさい、障子やふすまは立ったまま開けてはいけません…とか。昔の日本人には体に染みついた、当たり前のことですよね。

 でも今は、日本の良さを日本人が忘れている気がしてなりません。特に若い人たちのマナーには眉をひそめたくなるときがありますね。家庭もダメ、教育もダメ。とりわけ家庭が大事です。日本人の良さは家庭で培われるものですから。

 言葉も、訳が分からないカタカナ表記や、私が若いころには聞いたことがないようななじみのない英語が増えています。若い人たちはボキャブラリーも表現力も十分にありません。英語を勉強する前にしっかりと日本語を勉強すべきです。大事なのは何語で話すかではなく、「何を話すか」。会話にはその人の知識や教養が出ますからね。

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