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【話の肖像画】トラベルライター・兼高かおる(2)不良少女から「役に立つ人」に

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【話の肖像画】
トラベルライター・兼高かおる(2)不良少女から「役に立つ人」に

 〈女学校は、英国教会系のミッションスクール。戦争前には、週8時間の英語の授業があり、個人レッスンにも通っていた〉

 英語は好きでしたね。母が自由でモダンな人だから、家でうるさいことは何も言われないんです。でも学校は厳しかった。私はおとなしい方じゃないし、言うことだって他の人とは違っていたから、不良少女なんて呼ばれてね…。戦争が終わったすぐ後に、私がスカートをはいて街へ出たら、知らないおばさんにいきなり怒鳴られたんです。「そんな格好していたらアメリカ兵に乱暴されるよ」って。

 戦後、こんな私がとたんに「役に立つ人間」になったわけですから、暗闇が突然、晴れたようでした。英語ができたおかげです。進駐軍のRTO(鉄道輸送司令部)に手伝いにいったら、兵隊さん用のランチボックス(レーション)がいっぱい積んである。チーズやビスケット、チョコレート、たばこが数本。だけど、アメリカ人は見向きもしない。食べ物がない時代でしたから、「アメリカ人は何てぜいたくなんだ」って驚きましたよ。こっそり持ち出して、電車の車掌さんや出入りの職人さんたちに、たばこなどをあげると、とても喜ばれました。

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