産経ニュース

【本郷和人の日本史ナナメ読み】井伊直虎の謎(上) 本当に「おんな城主」はいたのか 物語の根底にある史料は『井伊家伝記』という本だが…

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【本郷和人の日本史ナナメ読み】
井伊直虎の謎(上) 本当に「おんな城主」はいたのか 物語の根底にある史料は『井伊家伝記』という本だが…

井伊直政像(模本、東大史料編纂所蔵) 井伊直政像(模本、東大史料編纂所蔵)

 大河ドラマ「おんな城主直虎」が始まりましたね。初めに誤解のないように申し上げておくと、大河ドラマは、歴史を素材として用いるけれども、あくまでもドラマであり、エンターテインメントです。堅苦しい歴史の再現フィルムではない。だから視聴者が納得できれば、フィクションが盛り込まれても何ら問題ない。ぼくはそう思っています。

 ただ、歴史研究者として、井伊直虎という人物に興味はある。それから、3回くらいかな、雑誌のインタビューを受けたのですが、ぼくの考えがきちんと伝わっているかというと、疑問がないわけではない。そこで今回、小牧・長久手の解釈はちょっと後回しにして、直虎は歴史研究からするとどういうふうに見るべきなのかを書いてみたいと思います。

 「歴史学」が、何より大切にすべきは仮説や解釈のもとになる「根拠」です。つまり「ウラを取る」ことです。なるほど、この確実な歴史資料にこうあるから、史実はこう復元できるのだな。その積み重ねが全体の歴史を形成する。では直虎の物語の根底にある史料は、というと、『井伊家伝記』という本になります。享保15(1730)年に成立したもので、著者は井伊谷(いいのや)(現浜松市北区)の龍潭寺(りょうたんじ)の住職である祖山というお坊さん。

続きを読む

「ライフ」のランキング