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【話の肖像画】俳優・滝田栄(4)母の死を機に仏像を彫る

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【話の肖像画】
俳優・滝田栄(4)母の死を機に仏像を彫る

母の政さん(左)を背負って山に登る =平成元年9月(本人提供) 母の政さん(左)を背負って山に登る =平成元年9月(本人提供)

 〈初めて仏像を彫ったのは43歳のとき。その2年前の平成4年に亡くなった母の政(まさ)さんを供養するため、観音菩薩を彫ったのがきっかけだった〉

 母は生まれつき心臓が弱かったのに一生懸命働いて僕たち兄弟を育ててくれて、話すことも本当にしっかりと筋が通っていて、人間の手本のような生き方をした。その母が亡くなったときに、どうすれば感謝の気持ちを伝えることができるのかと思ったんです。「ありがとうございました」と言ってみても、まだ足りない。いろいろ考えているうちに、母が毎朝、仏壇の前で手を合わせていたことを思い出したんです。だから今度は僕の番だと。「母はちょっとわがままですが、とてもいい人ですから、あの世でどうか安らかでいられるように面倒を見てやってください」という気持ちで彫ってみたんですね。

 彫りたいと思っても難しそうだなというブレーキがあったんです。ちょうど「レ・ミゼラブル」の大阪公演のときに知人にプロの仏師を紹介されて、お会いしてみると「鉛筆をナイフで削れれば誰でも彫れます」と教えてくれたんです。それならば僕もできるかなと思って、その場で彫ることを決めると彫刻刀を2、3本貸してくれたんですよ。高さ15センチから20センチくらいの小さな観音菩薩もお借りして、それを見ながら同じ大きさの木を削っていった。公演後にホテルに飛んで帰って机に向かって、寝るのも忘れて4日くらい彫ったらできちゃったんですね。

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