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【巨編に挑む】「神曲」 壮麗で緻密な言葉の大伽藍

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【巨編に挑む】
「神曲」 壮麗で緻密な言葉の大伽藍

(河出書房新社・5800円+税) (河出書房新社・5800円+税)

 ダンテ、シェークスピア、ゲーテの世界三大詩人ともいわれるうち、子供向けに翻案された『シェイクスピア物語』、恋愛小説『若きウェルテルの悩み』などがある後二者に対して、ダンテには、全く近寄るきっかけがなかった。名のみ知るダンテの『神曲』は、西洋文学の最高傑作。天国と地獄を描いた作品という予備知識だけで、無謀にも挑んでみることにした。(永井優子)

                   

 「人生の道の半ばで/正道を踏みはずした私が/目をさました時は暗い森の中にいた」

 全14233行からなる「神曲」の冒頭3行だ。その身にどんな事件があったのか、なぜ道を踏み外したのか、記述はない。むき出しの人間が弱さを隠すことなく、たった一人ほうりだされている。「正道」と信仰のかかわり、森が寓意する罪の深さは計り知れないが、そこに自分の姿を重ねて、長い読書の旅に踏み出す勇気を得た。

 『神曲』は、地獄篇34、煉獄篇33、天国篇33の100歌からなる詩篇だ。35歳のダンテが、西暦1300年春の復活祭に地獄、煉獄、天国を1週間にわたって旅したという構成。森の中で迷うダンテの前に古代ローマの大詩人、ウェルギリウスが現れ、地獄、煉獄への旅を先導する。今は天国に在るダンテの永遠の女性・ベアトリーチェの依頼で、破滅した人間の姿を見せることで、彼を堕落から救うためだ。

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