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【話の肖像画】俳優・滝田栄(2)禅寺で「家康」に出会った

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【話の肖像画】
俳優・滝田栄(2)禅寺で「家康」に出会った

山登りに熱中していた学生時代 (本人提供) 山登りに熱中していた学生時代 (本人提供)

 〈文学座演劇研究所、劇団四季を経て独立。舞台で実績を積み重ねてテレビの世界へ。昭和58年のNHK大河ドラマ「徳川家康」で家康を演じることになる〉

 舞台では素晴らしい仕事をやらせてもらっていましたが、テレビにはほとんど出ていませんでしたから、大河の主役は「まさか」でしたね。でも自信満々で「よし、やるぞ」と取りかかったんです。ところが、実際に役作りのために勉強を始めたら、徳川家康という人物が全然分からないんですね。何を考えていたのか、どういうエネルギーが家康を動かしたのか、心の一番深いところに何があるのか。史料を読んでも、台本を読んでも、見当が付かないんですよ。

 撮影が始まる1カ月前になっても分からない。分からないということは演じられないですから。本当に血の気が引きましたね。もう追い詰められて、どこかに消えてしまおうかとまで思って。恐ろしかったですね。

 〈役作りのヒントを求めて、家康が少年時代に今川義元の人質として預けられた臨済寺(静岡市)の門をたたき、禅の修行僧と一緒に生活をした〉

 家康が8歳から19歳までの人間を形成する一番大事な時期に過ごした場所ですから、そこで何かものすごい影響を受けたんじゃないか。そこに行けば家康の基本がつかめるかもしれないと頭に電気がついたんですよ。早朝の庭掃除や食事の前に唱える「五観の偈(げ)」というお経など、禅に通じる修行に触れることで、家康も同じことを身につけていたんだなと思いました。しかし、それだけでは、まだ家康を演じるには足りなかった。

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