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【話の肖像画】俳優・滝田栄(1)興味なかった芝居の世界

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【話の肖像画】
俳優・滝田栄(1)興味なかった芝居の世界

 〈NHKの大河ドラマ「徳川家康」で主演、舞台「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンを初演から14年間演じたほか、「料理バンザイ!」(テレビ朝日系)の司会を20年間務めた。俳優業にとどまらず、現在は長野県の八ケ岳の麓、原村(はらむら)のアトリエを拠点に仏像制作や講演活動など幅広く活躍している〉

 本当に心の底から取り組んでみたいと思うことを常に見失わないようにして、チャレンジしてチャレンジしてチャレンジして、ずっとそのまま来ちゃいました。

 35年前にここに移り住んで、今は地元の人と畑をやりながら交流しているんですが、みんな心の底から親切でジェントル(温和)なんですよね。東京では「銀座で一杯やる?」とか、評判のレストランで食べようとか、車はこれがいいよねとか、モノをテーマに生きてきた自分の関心というものが、もうほとんど消滅して、今は朝、窓を開けて空気を吸っただけで「ありがとうございます」「うれしいな」とニコニコしちゃって。そういう生活の中で自分が感じたものを形にしてみたいなと思っているんですよ。そのイメージを彫刻にしてみたら仏像になっていくというのがすごく楽しくて、僕の性格にも合っているし、とても面白い日々ですね。

 〈現在の千葉県印西市で生まれ育ち、高校生の頃は山岳部で山登りに熱中した。大学時代に文学座の演劇研究所に入るまでは、俳優には全く興味がなかったという〉

 高校を卒業したら家を出ていくように母親に言われたんですよ。苦労をしなさい、と。「獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす」と言いますが、母親も僕も寅年なんです。どうも虎と獅子を間違えていたらしいんですね。それで家を出て、大学の夜間部に通いながら昼間はアルバイトをして。山に憧れていたから、いつかフランスへ行きたいなという程度の気持ちで仏文科に入った。

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