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【至誠の人 揖取素彦物語(73)】中村紀雄 「廃娼請願」直後の訃報

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【至誠の人 揖取素彦物語(73)】
中村紀雄 「廃娼請願」直後の訃報

 明治13年の議会に、議員として湯浅治郎が登場した。かつて楫取を訪れ、新島襄を語った男である。県会で、県令と議員として再会するとは奇遇であった。

 「湯浅さん、あなたが議員として議会に登壇するとは驚きです」

 「本当ですね。私の後ろには新島襄、県令の背後には吉田松陰、これは、ただ事ではありませんよ。目に見えない大きな力が働いているように見えますね。私は、そのつもりで頑張ります」

 2人は固く手を握りあった。

 明治13年、12月3日、議会に大きな動きがあった。湯浅治郎、眞下(ましも)珂十郎(かじゅうろう)らが中心になって、娼妓(しょうぎ)廃絶の「請願書」を県令楫取に提出したのである。

 この人たちは、娼妓の害を真剣に訴えた。格調高い漢文調の文で、彼らの志と情熱が伝わってくる。

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