産経ニュース

【話の肖像画】演出家・鈴木忠志(5)日中韓の演劇人と軋轢を超え芸術を発信

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【話の肖像画】
演出家・鈴木忠志(5)日中韓の演劇人と軋轢を超え芸術を発信

万里の長城を借景にした野外劇場「長城劇場」(劇団SCOT提供) 万里の長城を借景にした野外劇場「長城劇場」(劇団SCOT提供)

 〈77歳の今も世界的な演劇活動を続けるが、訓練は「和」が基本。白足袋を愛用する〉

 祖父が義太夫の師匠だったから、子供の頃は目の前に座らされ、必死の形相で腹から絞り出す声を聞かされました。演劇を始めたのは大学時代だけれども、それを知った親からは仕送りを止められた。演劇は“不良”がやるものだったから。でも昔は、谷崎潤一郎や夏目漱石、福田恆存(つねあり)や木下順二もそうだけれど、舞台芸術をめぐる知的教養のない文化人はいなかったんです。

 〈社会性のある演劇発信の場を、意識して設けてきた。平成6(1994)年には、日中韓の演劇人と「BeSeTo(Beijing、Seoul、Tokyo)演劇祭」を創設した〉

 毎年3カ国持ち回り開催で、20年以上続いています。開催当時は、日中韓の国のトップが一度も集まったことがなく、画期的でした。日中韓には政治的問題があるけれど、文化的背景は似ている。もう一度、政治的歴史的軋轢(あつれき)を超え、芸術家同士、同質性があると確認する必要があると始めたんです。

 〈第1回はソウル、23回目の今年は日本で開催された。演劇ならではのアプローチで、東アジアの文化を理解し合い、発信する〉

 芸術家には、異質性がハッキリしている中で同質性を示す使命があります。「文化」にも考え方が2つあって、宗教や言語、生活スタイルを“文化”と称すると、集団のまとまりを強くする壁ともなり、純粋であればあるほど排他性を持つ。

続きを読む

「ライフ」のランキング