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【話の肖像画】演出家・鈴木忠志(3)利賀村を世界と出会う場に

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【話の肖像画】
演出家・鈴木忠志(3)利賀村を世界と出会う場に

劇団SCOTの本拠地、富山県利賀村(現南砺市)の利賀山房ホール棟前に立つ (劇団SCOT提供) 劇団SCOTの本拠地、富山県利賀村(現南砺市)の利賀山房ホール棟前に立つ (劇団SCOT提供)

 〈劇団SCOTの本拠地、富山県の旧利賀村(現南砺市)は、今や「演劇の聖地」として知られる。JR富山駅から車で1時間以上かかる深山幽谷の地に、磯崎新設計の野外劇場を含む6劇場や稽古場、宿泊施設を含む「富山県利賀芸術公園」が広がっている〉

 昭和51年、本拠地を利賀村に移しました。それは47年、テアトル・デ・ナシオン(世界演劇祭・パリ)に招かれた影響も大きい。フランスでは演劇が社会的な力を持っていると実感した。政府がお金を出して、観客も多国籍の老若男女だったことにも驚かされました。パリでは普通の民家を劇場にしていて、大臣もピエール・カルダンも一緒に芝居を見にきていた。演劇のステータスが高く、娯楽ではない、社会的影響力のある演劇を目指さなければならない、と思ったんです。

 そこで早稲田小劇場の契約が切れるのを機に、どこか集中して稽古できる場所はないかと、早稲田大の郡司正勝先生に相談したら、民俗芸能のフィールドワークで訪れた利賀村を紹介された。放置されていた合掌造りを見て気に入り、1棟2万円で借りることにしました。同時に東京の文化一極集中はまずい、という問題提起もできればいい。世界は日本だけではない、日本は東京だけではない、この利賀村で世界に出会う。そんな場にすればいい。

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