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【話の肖像画】演出家・鈴木忠志(2)早稲田小劇場を介して知り合う知識人も多数、世界レベルの演劇目指す

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【話の肖像画】
演出家・鈴木忠志(2)早稲田小劇場を介して知り合う知識人も多数、世界レベルの演劇目指す

かつての早稲田小劇場 (劇団SCOT提供) かつての早稲田小劇場 (劇団SCOT提供)

 〈早稲田大学卒業後に旗揚げした「早稲田小劇場」は、唐十郎の「状況劇場」、寺山修司の「天井桟敷」と並び“アングラ御三家”と呼ばれる前衛劇の先駆だった。特に白石加代子主演の「劇的なるものをめぐってII」(昭和45年)のコラージュ的構成と演出は、当時の演劇界に衝撃を与えた〉

 僕は、演劇が好きで始めたわけじゃないんだよ。だって高校時代、演劇をやっているやつってベレー帽かぶったりして、“西洋の先端的文化やっています”って雰囲気漂わしていたから、嫌いだった。

 でも僕は文学青年だったから、一通りラシーヌやシェークスピア、チェーホフ、近松(門左衛門)も読んだ。すると演劇っていいな、と思えた。私小説みたいな男女のスッタモンダでなく、演劇は実際に起こった事件を題材に、集団が身体と言葉を絶えず意識化し、人間について考える活動だから。演劇を勉強すれば、その国家の成り立ちや国民の感受性が分かる。ギリシャ悲劇を知ればヨーロッパが分かるし、能や歌舞伎を勉強すれば日本が理解でき、その対比から外国も見えてくる。

 ただ僕は、当時の演劇人と考え方が違った。新劇は西洋に憧れるあまり、コンプレックスを抱いちゃっていた。一方、日本の伝統芸能界は狭い世界に籠もって、自分たちのどこが優れているか、自分の言葉で語れない。歌舞伎俳優が「忠臣蔵」から国家のあり方を考えるなんて言わないよ。だから自分で演劇を始めるしかなかった。

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