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粒ぞろいの名画たち…デトロイト美術館展 「私の一押し」 評論家、山田五郎 俳優・映画監督、竹中直人

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粒ぞろいの名画たち…デトロイト美術館展 「私の一押し」 評論家、山田五郎 俳優・映画監督、竹中直人

クロード・モネ「グラジオラス」1876年頃 油彩、カンヴァス City of Detroit Purchase クロード・モネ「グラジオラス」1876年頃 油彩、カンヴァス City of Detroit Purchase

 東京・上野の森美術館で開催中の「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち」(産経新聞社など主催)が大勢の人でにぎわっている。モネやルノワールら印象派に始まり、ゴッホやセザンヌらポスト印象派から20世紀のマティスやピカソまで、粒ぞろいの名画を集めた展覧会。美術に造詣の深い評論家の山田五郎さん(58)と、俳優の竹中直人さん(60)に印象に残った作品を聞いた。

幸せあふれる光と色彩

□評論家・山田五郎

 モネは、すでに息子をもうけていた恋人のカミーユと30歳の時に正式に結婚。翌年にはパリ近郊のアルジャントゥイユに居を移し、38歳まで暮らしている。志を同じくする仲間と「印象派展」を立ち上げ、ようやく注目されはじめたのが34歳。私はモネの数ある作品の中でも、公私ともに希望に満ちたこの頃のものがいちばん好きだ。

 風景画家として知られるモネだが、この時期には家族を描いた作品も多い。「グラジオラス」もその一枚で、日傘の女性は妻のカミーユ。陽光に輝く百花繚乱(りょうらん)の色彩が、一片の曇りもない幸福感と、家族愛を映し出す。

 だが、幸せは長く続かない。アルジャントゥイユを離れた翌年、カミーユは32歳の若さで病死。

 以後、モネは人物をほとんど描かなくなり、「睡蓮」をはじめ同じ対象を何度も描いて光の移ろいをとらえようとする風景画の連作に没頭しはじめる。まるで妻を救えなかったことへの罪滅ぼしでもあるかのように。

 そんな運命を知った上で改めて「グラジオラス」を見ると、アルジャントゥイユ時代の若くかげりない幸せに満ちた光と色彩が、ひときわまぶしく心にしみる。(寄稿)

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