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【解答乱麻】教育力の根源に気づく大切さ バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

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【解答乱麻】
教育力の根源に気づく大切さ バッカーズ寺子屋塾長・木村貴志

 バッカーズ寺子屋の合宿ではさまざまな体験を行う。海での釣りもその一つだ。各自が釣りの手順を聞き、仕掛けを準備し自力で釣り始める。釣り上げた魚はクーラーボックスに運び、夕刻には手捌(さば)きで内臓を出し、小麦粉を塗(まぶ)し揚げていただく。初めは怖くて魚に触れなかった子供も、次第に触れるようになり、夢中になって釣りを楽しむ。当初、釣りの体験は、海の豊かさ、手順を正確に聞き取る大切さ、命を頂くことへの感謝の3つを体感してもらうためと考えていた。だが、釣りにはもっと深い意義があることに気づいた。「さまざまなことにチャレンジする逞(たくま)しさ」を涵養(かんよう)するのだ。理論的裏付けはアルバート・パンデューラ博士の「ヘビ恐怖症克服の実験」を知って得られた。ヘビ恐怖症の人たちが少しずつ誘導され、触れるようになると「私はできなかったこともチャレンジすればできる人間だ」という自信を持ち、他のことに対しても無用な恐怖心や不安を持たなくなるというのだ。博士はこれらのプロセスを総称し「自己効力感(self-efficacy)」と呼んだ。

 魚を触れるようになった子供たちが、その後、生徒会や部活動等、学校生活でもさまざまなチャレンジを始めるのも釣り等の体験によって「自己効力感」を得たからと考えれば合点がいく。

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