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【話の肖像画】作家・原田マハ(1)再生が始まった街で

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【話の肖像画】
作家・原田マハ(1)再生が始まった街で

作家・原田マハさん(松本健吾撮影) 作家・原田マハさん(松本健吾撮影)

 〈全米屈指のコレクションを誇るデトロイト美術館の名画の数々が今、東京・上野の森美術館で展示されている。市の財政破綻(2013年)を機に、売却の危機にさらされた所蔵の美術品は、いかに守り抜かれたのか。時代を超えて美術館を支えた市民らを鮮やかに描いたのが、今秋刊行の小説「デトロイト美術館の奇跡」(新潮社)だ。取材のため今年1月末、デトロイトを初訪問したという〉

 デトロイトといえば、かつて「自動車の街(モータータウン)」としてアメリカの繁栄を象徴した都市です。けれども産業の衰退とともに若者が街から流出し、人口は急減して治安も悪化した。さらに市の財政破綻というニュースが世界を駆け巡るなど、あまりポジティブなイメージはありませんでした。個人的にも縁遠い街でしたね。

 でも実際に訪れてみると、百聞は一見にしかず。非常に面白い街で、正直驚いたんです。一言で表すなら、「再生が始まった街」でしょうか。街の再生や底上げに、アーティストやクリエーターの力は大いに有効だと思います。その好例を実際にデトロイトで目の当たりにし、非常に興味を持ちました。

 というのも今、この財政破綻した都市にあえて戻ってくる、あるいは移り住んでくるクリエーターが増えている。彼らにとって何がメリットかというと、まず地価が安い。しかも洗練されて既に出来上がっているエリアより、一度荒廃した街で何かを始めた方が、面白いことが起こりそうでワクワクするというもの。

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