産経ニュース

躍動感とはかなさと 土屋仁応の個展「命の木」

ライフ ライフ

記事詳細

更新


躍動感とはかなさと 土屋仁応の個展「命の木」

 架空の生き物や実在の動物などを題材にした木彫で知られる彫刻家、土屋仁応(よしまさ)の個展「命の木」が、東京・銀座のメグミオギタギャラリーで開かれている。

 土屋が今回、初めて発表したのがティラノザウルスをモチーフにした「異端児」という作品だ。つるつるに磨かれた滑らかな肌に独特の彩色が施され、皮膚は白く血管が透けるよう。生き物の質感が伝わってくる。

 まだ子供だという無垢(むく)でかわいらしい姿だが、すでに切れ味が鋭い歯がそろい、細部へのこだわりをみせている。「恐竜は体を大きくしたから生き残れなかった。強いけどはかない」と土屋は話す。「異端児」というタイトルには「破壊と創造というイメージ」を込めたという。躍動感のある形に、この世に生まれ出た喜びがにじみ出る。まだ弱々しいが、成長したら大暴れしそうだ。

 土屋は昭和52年生まれ。東京芸大美術学部彫刻科を卒業後、同大大学院で仏教美術の古典技法や修復を学んだ。確かな技術を背景に、伝説上の生き物をモチーフにした作品を制作し、海外のアートフェアにもしばしば出品されて人気が高い。今年は東京都美術館の開館90周年記念展「木々との対話」で、舟越桂ら大物彫刻家とともに作品を披露した。

 この個展でも、おなじみの獅子や麒麟(きりん)を並べた。滑らかな肌とたてがみの荒々しい彫り跡。繊細さと力強さを兼ね備え、確かな生命力を宿す。「命の木」と題されたように、長い間生きてきた木の命は作家によって刻まれ、生き物の形となって鼓動を始め、静かに息づいている。(渋沢和彦)

                   

 24日まで、日月祝休。問い合わせは同ギャラリー(電)03・3248・3405。

関連ニュース

建築家・妹島和世さん、人と地域とアートをつなぐ

「ライフ」のランキング