産経ニュース

吉田修一さん新作「犯罪小説集」 弱さが持つ強さと向き合う

ライフ ライフ

記事詳細

更新


吉田修一さん新作「犯罪小説集」 弱さが持つ強さと向き合う

収録作のタイトルは「凝っている」という歌舞伎の演目調に。「それらしく劇的な見せ場も意識して書いた」と話す吉田修一さん(山崎冬紘撮影) 収録作のタイトルは「凝っている」という歌舞伎の演目調に。「それらしく劇的な見せ場も意識して書いた」と話す吉田修一さん(山崎冬紘撮影)

 読み終えたときに謎はむしろ深まっているかもしれない。吉田修一さん(48)の新しい作品集『犯罪小説集』(KADOKAWA)。「ゴツゴツした感情を、そのまま書いた」という5つの収録作を通して、作家は人間の分からなさや複雑さを突きつける。(海老沢類)

                   

 「もしも犯罪で『道を踏み外した』という言い方をするのなら、それは何でなんだろう?と。分からないし知りたい。だから描いているんだと思う」と吉田さん。同じく犯罪を扱った『悪人』『さよなら渓谷』といった長編の延長上にある密度の濃い一冊だ。

 「青田Y字路」では、未解決の少女失踪事件をめぐり地域住民の胸にしこりのように残る罪悪感をあぶり出す。「万屋善次郎(よろずやぜんじろう)」では強い憎しみを生んでいく閉塞(へいそく)した集落の人間関係を描き、「百家楽餓鬼(ばからがき)」ではバカラ賭博にのめり込んでいく創業者一族の御曹司の内面をたどっている。

続きを読む

関連ニュース

「元少年A」の手記発表は許されるか? 作家・大野芳が読む『塀の中の少年たち 世間を騒がせた未成年犯罪者たちのその後』

「ライフ」のランキング