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【話の肖像画】庭園デザイナー・石原和幸(3)世界最高峰のショーに出場

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【話の肖像画】
庭園デザイナー・石原和幸(3)世界最高峰のショーに出場

2004年に初出場した「チェルシーフラワーショー」で庭園「源」の制作に取り組む (石原和幸デザイン研究所提供) 2004年に初出場した「チェルシーフラワーショー」で庭園「源」の制作に取り組む (石原和幸デザイン研究所提供)

 申込書にはスポンサーを記入する欄があります。小さい庭でも5千万円くらいかかるというのです。私、お金持っていないわけですよ。困ったので地元の和菓子店の名前を勝手に書きました。

 資金作りのため、相続した実家を2500万円で勝手に売却しました。きょうだいや親類から思い切り怒られましたよ。持っている資金は2500万円なのに「5千万円ある」と言って、出場が決まりました。2500万円あればいけると思ったんです。

 しかし当時、1ポンドが260円。ホテルで宿泊したら、1人1泊5万円かかるんですよ。左官や大工など20人でチームを編成していったので、1泊で100万円なくなるんです。開催4日前にやっと安いシェアハウスを見つけて借りました。すると今度は庭園を造る材料を用意していないことに気付きました。材料はなく、資金も2千万円なくなった。

 会場では、各国の参加者の材料がたくさん置いてありました。みんなで日本から持ってきた長崎名物のカステラを配って材料をもらって回りました。今年、アイルランドの女性がチェルシーに挑戦する映画が上映されましたが、私の場合あんなもんじゃないですよ。言葉が通じないんだから。会場に偶然いた日本人に通訳をお願いしたりしました。

 初出場の作品のテーマは「源(みなもと)」で、白い塀を建て石畳を敷き、マツを植えました。自分が生まれた長崎の教会には石畳と瓦ぶきの屋根があって、自分の原風景を表現したのです。オーストラリア、オランダ、ニュージーランドなど、いろんなところからもらった材料で造った庭が「シックガーデン」部門で、2位にあたる「シルバーギルト」になった。

 実家を売り、借金も残っていたので、話題になって一流にならないと、きょうだい親類に合わせる顔がありません。どうしても優勝したかったんです。(聞き手 中島高幸)

 ※石原さんがメインガーデナーを務める「うめきたガーデン」、産経WESTで特集しています。

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