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【からだのレシピ】日本医師会赤ひげ大賞第4回受賞者 高見徹医師

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【からだのレシピ】
日本医師会赤ひげ大賞第4回受賞者 高見徹医師

訪問診療を続ける高見医師 訪問診療を続ける高見医師

 □鳥取・日南町国民健康保険日南病院名誉院長

 ■「地域づくりをする医療」伝授

 「どうしたら1人暮らしの高齢者を救えるのか。この町で学び、その手法を都市部に伝えることをライフワークにしていきたい」

 日本で最も高齢化が進んでいる地域の一つである鳥取県日南町は日本の30年後の姿ともいわれている。日南町国民健康保険日南病院の高見徹名誉院長は「一番の課題は地域医療を継ぐ後進の医師をどう育てるか」と話す。後進を育てる試みとして約10年前から鳥取大学医学部や県西部医師会、米子市福祉保健課の協力を得て同市の義方校区にて情報の共有を行い、日南町で学んだ「地域づくりをする医療」を医学生に伝える場を設けている。

 昭和60年に日南病院へ派遣された時、地域における医療の大変さを実感し、高齢化社会の医療の負担をどう軽減するかを考え続けてきた。そして、病院を核として医療や保健、介護、福祉などのサービスを一体的に提供するサービスにたどり着く。

 日南病院は「町は大きなホスピタル」をスローガンに掲げ、地域づくりをする医療に取り組む。その過程は3段階に分けられている。第1段階は「どこで誰がどんなふうに暮らしているか」を把握。「『誰かが心不全で運び込まれた』という状況があった場合、ヘルパーさんを通して、『家に飲まなければいけない薬が余っている、薬を飲んでいない』ことを知る。再発防止のために、薬を飲むようにヘルパーさんを通して指導する。そのまま帰してしまっては、再発防止ができない」と地域を挙げての協力体制を敷く。第2段階は医療・保健・介護・福祉の一体的サービスの実践。週1回、保健師やヘルパーら地域の医療保健関係者が集まり、45分ほどの在宅支援会議で状態に変化のあった30~40人分の情報を共有する。「5年、10年と続けていくうちに、このやり方でいいということが分かってきた」という。第3段階では住民、医療・保健・介護・福祉の関係者、行政トップの連携が出来上がる。「地域医療はこの3つの段階をらせん状に進んでいくことに気付くことになった」

 地域医療をきっちりとこなすことで地域が支える体制づくりを進め、高齢化を乗り越える。「20年後、30年後に日本が医療的に苦しくなる時がくる。日南町はまだまだたくさんのことを教えてくれる。そこで学んだ方法を都市部に伝え『地域づくりをする医療』を考える医学生を育てていきたい」と語る。

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【プロフィル】高見徹

 たかみ・とおる 日南町国民健康保険日南病院名誉院長。専門は内科。昭和24年、鳥取県生まれ。66歳。東京大医学部保健学科、鳥取大医学部医学科を卒業。鳥取大付属病院を経て、平成5年日南病院副院長、9年から17年間、院長。27年3月に役職を降りるが、現役医師として外来、訪問診療の現場で地域医療を支え続けている。

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 ■「赤ひげ大賞」

 主催:日本医師会、産経新聞社、特別協賛:ジャパンワクチン

 ホームページ http://www.akahige-taishou.jp/

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